一夜、
森に行ってはいけない、そう幼い頃から教えられていました。
森は魔物の領分である。
定められたルールがあり、それを侵せばたちまち災いがふりかかる。
なにより彼らは子どもを好む。行ったが最後、連れ去られて帰ってこれないだろう。
「少しならきっと大丈夫よ」
そう言ったのは姉でした。
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一夜、
森に行ってはいけない、そう幼い頃から教えられていました。
森は魔物の領分である。
定められたルールがあり、それを侵せばたちまち災いがふりかかる。
なにより彼らは子どもを好む。行ったが最後、連れ去られて帰ってこれないだろう。
「少しならきっと大丈夫よ」
そう言ったのは姉でした。
祭りの前日、私たちは抜け出しました。
大人たちは忙しくて誰も気がつきませんでした。
帽子に白いワンピース。
姉の長い金髪が日差しをうけてきらきら輝いていたのを覚えています。
少しだけ、もうちょっと、すぐ戻るから。
初めての景色に夢中になり、道を見失ったと気づいたのはもう日が沈もうとしてる頃でした。
森の中に突然立派な洋館があらわれました。
今でも思うのです。
あの時あの館に入らなければ、と。