「でも、前はギルドでたくさんのクエストをクリアしていたんでしょ?」
「え?あぁ……まぁ……」
「今回は何故医者になりたいと思ったのかしら?」
「え、な、なぁにぃ??急に面接なのぉ?」
「なんだか、不思議に思っちゃって!ね、鯉占さんとハレ!」
「えぇ、ラビ」
「んー、まぁ……」
おいおい、ハレくん!ハレくんは知ってるでしょお!!と心のなかで叫びながらも苦笑いをする。けれど、きっとその苦笑いでさえ口元がひきつっているだろう。興味津々に目が輝いている二人に少し引きながらも見ているハレくん。これは、どうしようか?でも、自分が『ギルドメンバー』として『いられない』理由を話すにはちょうど言いかもしれない…。
「あまりいい話じゃないんだけどねぇ…。前の所では俺の相棒だった人とぉ一緒にクエストをしてたんだけどぉ……とあるクエストでぇ、失敗しちゃってぇ…………その人を怪我……いや、大怪我させちゃったんだぁ……。ヒーラーな俺でもぉ、完全に治せないまでの大怪我だった……それからかなぁ…何回かクエストを受けようとしたんだけどぉできなくなっちゃって……暗い話でごめんねぇ?…」
と事情を話せば、ハレくんはやっぱり知っていたからか今知ったような表情はしなかった。ラビくんと鯉占は少し驚きながらも真剣に話を聞いてくれ、全く俺を責めるようなことは言わなかった。あの時は、まさかの展開が続いて怪我に至ったのだけれどそれでもまだ自分の事は許せない。ギルドにいた誰もが俺のせいじゃないなんて言ってくれたし、励ましてもくれたけど……それでもギルドを諦めないといけななくなった相棒の姿を見て悔しさと同時に罪悪感で押し潰されそうになった。それから俺は誰かを助ける薬に執着するようになり、どのものよりも良い薬を……みんなを助けるような薬を研究するようになったんだが……それは内緒にしておこう。
もとからあんなクレイジーな性格じゃなかったけれど……まぁ、今は薬が好きだし誰かで試してみたいしなんなら獣人の血や半妖の血にだって調べたいと思ってる。
「こちらこそ、無理に聞いて悪かったわ」
「ごめんね……でも、もしまたギルドメンバーとして……いや、もうギルドメンバーだもんね……うーん……とりあえず!戦ってみたくなったらいつでも言ってね」
「うんうん、薬草取り以外にも付き合うぞ」
「あははぁ、ありがとぉ。」
「あ、こんな時に……なんだけど……お昼に手紙届いてたよ?」
「手紙??誰だろ……」
手渡された手紙は送り主の住所はなくただただ、俺の名前『サディルへ』と書かれただけだった。誰だ?と思いながらも封筒を開き中を見てみる。内容を見るにつれて不思議そうな表情が固まり、段々と表情がひきつってしまう。そんな姿を見え、三人も「どうしたのー?」と聞いてくれたがそれどころではない。
『サディへ
あまりにも俺のところに来ないから俺から行く。会ったら覚悟しておけ。
お前の相棒より』
なんて、会いたくないとはいかないが会いづらい相手からの手紙におまけに会いに来るなんて……こうしちゃいられない。とりあえず……。
「き、今日はぁ……夜遅いからぁ、寝ようかぁ……。また明日伝えるねぇ?」
「まぁ、今日はこんな時間だからな……あまり夜かしもしていたら身体に悪いだろう…」
ハレくんに少し助けて貰いながらもそろそろ解散するように託していく。明日から思いやられそうだ。それから、暫く何日も昼間は薬草を取りに行ったり資材の調達で昼間はいなかっただとかしていなかっただとか…。その、外出週間を終えるのはその相棒に出会ってしまうことなのだが……何日も何日も避け続けてしまうため仲間も協力しただとかなんだとか。けれど、それはまた別のお話……。