1週間後の明日月曜日、遂に私が最も恐れていた学校行事、運動会が開催される。
運動会というものはこの世にあってはいけないと私は考える。何故なら、運動会は運動神経がない者にとって恥さらし、公開処刑、精神的な拷問でしかないのだから。
２ブロックやブラック校則の廃止だったり、自分の母校ではブレザーの導入だの校内改革に力をいれているが、そんなことはどうでもいいので早く運動会をこの世から排除してほしい。
私は昔から運動神経がうんこだった。
これまでの運動会では徒競走20秒超え、サッカーでオウンゴールを決めそのまま帰宅、背渡りで腰を痛め3週間病院の世話になったり、大きい音=ピストルが苦手すぎて耳を塞がなかったらおもちゃを買ってあげるよといわれても耳を塞ぐほどだった。しかも、こんだけ運動神経うんちにも関わらず二人三脚や障害物競走などの足が遅い人でも若干リカバリーがきく種目でのじゃんけんに全敗し、徒競走ばかりに出場するという運の悪さも身体に有していた。
そんな全パラメータGの私だが、運動会で一番消えてほしい種目が長縄である。大縄ならまだましで、ジャンプするだけなので私でも出来た。誰かがミスすると犯人捜しが始まり、多数の悪意の眼差しが行き交う様を見ているのは滑稽だったが。まあ、そんなこんなで、大縄はまだいけた。
しかし、はちのじとびだけはいつになっても飛べなかった。自分は15年間生きていてあの縄を飛んだことがない。毎回引っ掛かるか、飛ばずに通り抜けさせてもらうかの二択だった。その度に、自分以外の人間が悠々と縄を飛んでいることが不思議でたまらなかった。
自分なりに努力はしたつもりだ。縄を遅くしてもらったり、放課後居残りをさせられて練習したり。しかし、飛べたことはなかった。結局、その鍛練の日々は音速で回り続ける大繩への恐怖と不安を増進させるだけのものだった。そのうち、自分ははちのじとびを飛べない身体なんだな、と日々痛感させられていった。
来週の運動協議大会は、登校中に家に逆走するか、無断で学校を抜け出すか、早退させてもらう。冒頭でも言ったが、運動会は、運動神経が悪い人にとって拷問でしかない。