※本当にあった事を基にし、少しフェイクを入れ、書かれた小説です
鬱、病みが少し混じっていますが、どうか暖かい目で見守ってやってください。※
私がまだ十六の時、京都府に住んでいた頃の話
時計の音、路地裏から漏れ出る水が滴り落ちる音。湿っぽい、じめじめとした空気。
内部から苦痛と快い身震いがした。
自分は、この世界が好きだった。
義務と罪、清らかさ、未来に対する大きな不安
全てを忘れさせてくれるからだ。
自分は日々、この世界へ訪れ、ただ一人、楽しんでいた。そんな日々を過ごし、約二年の月日が流れた頃であろうか。
いつも通り、霧が掛かり、ジメっとした空気の中を歩き、いつもの場所へ向かっていた時。
ある一つの人影が見えた。
自分だけの世界に、初めて他者が来た。
嬉しくも悲しくもあった。
自分だけの世界に、話し相手が出来る嬉しさ。
自分だけの世界に、踏み入られる悲しさ。
その様な事を思考し、足を止めていると、突然その人影は話し掛けてきた。
「こんばんは。」
何の変哲もない、ただの挨拶だ。
少し得体の知れぬ恐怖を感じ、自分は軽く会釈だけをした。
「こんな場所に一人で来るなんてかなりの物好きだね、君。」
確かに物好きには変わり無いが、こんな場所
と言う言葉が引っかかる。自分の世界を、まるで侮辱する様な言い方だからだ。
そこで、少し腹の立った自分はすかさずこう言い返すした。
「君こそ、一人で来るなんて変わり者だな。」
嘲笑を込めた、相手を貶す様な言い方だ。
「いいや、僕は変わり者ではない。僕はただ、毎日ここに来ている者の正体が気になり、君と同じ様にここに居座り、君を待っていたのさ」
最初、彼が何を言っているのかよく分からなかった。自分を待っていた?正体が知りたくて?
まるで訳が分からない。
はぁ…?と間の抜けた、素っ頓狂な声が出る程である。
その声を聞き、彼は少し面白かったのか、笑ってみせた。
「何だい、その間の抜けた、風が通り過ぎる様な声は。」
失礼な奴だ。
「一々そんな事を気にするな、君が変な事を言うから、少し戸惑っただけだ。」
図星をつかれ、この様な言葉しか出なかった。
そしてまた、彼は笑う
「変な事とは失敬だな、人間、好奇心には勝てないモノさ、気になったからこう待ち伏せをした、それだけさ。」
人間の好奇心とは凄いものだ。
人をここまで狂わせる事が出来るのだから。
これが彼との、最初の出会い。
あとがき 一応今日はこんぐらいにしときます
好評だったら多分続き出す
アドバイス等、どうか宜しくお願いします。